秘密の地図を描こう
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軍部の掌握とユウナ・ロマの身柄確保は比較的すんなりと終わった。それは軍人達がカガリが帰ってくるのを待っていたからだろう。
しかし、だ。
「……ジプリールが見当たらない?」
キラはそう聞き返す。
『あぁ……ユウナも知らないようだしな』
いったい、どこに潜んでいるのか。カガリはそう言ってため息をつく。
『ともかく、こちらはこのまま捜索を続ける。お前は悪いが、そのままザフトとのにらみ合いを続けてくれ』
フリーダムがいれば、ザフトが動けない理由になる。カガリはそう言った。
「わかった」
確かにそうかもしれない。
「でも、早めにジプリールを確保してね」
キラがそう言い返したときだ。
『キラ・ヤマト!』
不意に通信機から声が響いてくる。
「カナードさん?」
どうかしたのか、と反射的に聞き返す。
『ジプリールは宇宙に上がるつもりだ! 止めるなら、急げ!!』
彼は焦ったような口調でそう告げる。
「……どこですか?」
オーブのマスドライバー施設はどこにあっただろうか。そう思いながら聞き返す。
『ポイントを送る。すぐに来い!』
言葉とともにデーターが送られてきた。
「確認しました。必要な場所に転送します」
地上からも捜索に迎えるように、と言外に続ける。
『それは任せる』
自分よりもキラの方がわかって言うだろう。そう彼は言った。
「わかりました。僕もすぐに行きます」
こう言いながら、すぐに流す相手のアドレスを特定する。
「ザフト側にはニコルから回してもらえばいいよね?」
そこまで詳しくないし、と呟く。
「でも、ミゲル達ならいいか」
そういうと同時に、いくつかのアドレスを追加する。そのまま送信をすると、意識を現実に戻す。
「カガリ?」
『こちらは心配するな。気をつけていけ』
即座に言葉が返ってくる。
「うん、わかってる」
言葉とともにキラはフリーダムを発進させた。
『キラ!』
その後を追いかけてくるかのようにザフトの機体が二機、追いかけてくる。
「アスラン? それに、ミゲルかな?」
相手の動きを確認して、そう呼びかけた。
『レイとシンを先行させた。うまくいけば、頭を抑えられるはずだ』
もっとも、施設を多少はかいするかもしれないが……とアスランが言ってくる。
「修理できる程度ならかまわないんじゃないかな?」
モルゲンレーテの技術者には怒られるかもしれないが、とキラは言い返す。
「カナードさんを怒らせないといいけど」
彼らが、と付け加えた。
『大丈夫だと言えないのが辛いな』
特にシンが、とミゲルが言い返してくる。
『だが、ジプリールの捕縛を優先するように言ってある。だから、邪魔さえされなければ大丈夫だろう』
そう言われても、やはり彼らの性格を考えれば少し不安だ。
「でも、急いだ方がいいよね」
この言葉とともにキラは速度を上げる。それに、他の二人だけではなくオーブの機体も追いかけてきた。